大人のお辞儀

幼い頃、それは昭和40年代中頃の記憶だが、

田舎から泊りのお客様があると、

大人たちは、畳の上で正座して、何度もお辞儀をし、

挨拶の口上を述べていた。

その光景はとても美しく、

私も大きくなったらこんな風にするのだと、

あこがれの気持ちで眺めていた。

あの当時のお客様は、両親や祖父母の、

親や兄弟姉妹だったことを今になって思い起こすと、

時代が変わり、生活様式も変わったとはいえ、

あんなお辞儀を、私は、親やきょうだいに全くしていない。

雪深い北陸の、農家や商家で暮らしていた、両親や祖父母の縁者たち。

列車にゆられて、何時間もかけて、やっと来てくださった。

黒電話の置いてあった、あの畳の部屋で、

ようこそ、ようこそと、私も頭を下げてみたい。

「ずいぶん大きくなったねえ。」と、

目を細めてもらえるような気がする。

M.Y

“大人のお辞儀” への2件のフィードバック

  1. 上田富雄 より:

    こんばんは^^

    良き昔の風習が薄れていきますね
    良きにしろ悪くにしろ時代で変わりますが
    日本人の心は変わって欲しくないのと
    日本人らしき好い所は何時までも残してほしいし
    私達の時代でなくさない様に
    後世の人たちに引継ぎをせねばね!

  2. M.Y より:

    コメントありがとうございます。
    踊りのお稽古を、始めるようになって
    お辞儀の素晴らしさを再確認しています。
    今年のお正月は、家族できちんと正座して、
    新年のあいさつをしました。
    本当に清々しい気分でした。
    ずっと続けていきたいものです。

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